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八ケ岳ミュージックセミナー

音楽樹、八ケ岳ミュージックセミナーが開催された。(8月5日~8月8日)
今年で7回目。当初島根の隠岐島で開催されていたが、現在は信州川上村で開催されている。千曲川の源流を有する川上村は標高1000メートルを越える、高原にある。この時期涼しい。
このセミナーでは毎回、新作の合唱曲の練習、初演が行われる。今回は篠崎正嗣氏(篠崎史子、功子氏と姉弟、ラストエンペラーでは二胡の演奏も)久田典子氏の2作品が作曲家の指揮、監修で練習、
初演された。
実行委員は新実徳英、西村朗、栗山文昭、藤井宏樹、片山みゆきの各氏である。
今回私も実行委員会スタッフとして、参加した。
信州の高原で、実に刺激的な、魅力的なセミナーが展開されていることを知っている人はそう多くはないだろう。
このセミナーでは新進作曲家との出会い、新実、西村氏という日本の創作活動をリードする作曲家との出会い、そして、合唱指揮者、片山、藤井、栗山各氏の出会いという、実に豪華な顔ぶれのセミナーである。

私はこのセミナーに是非若い合唱人の参加を薦めたい。
かつて学生時代の夏、野沢温泉で田中信昭氏の指導を受けたことが、私のベースになっている。(実はそこで、片山みゆきさんを知ったのだ。)

出会いが人生を変えるのだぞ!

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シンポジウムの総括

終わりました。
世界合唱シンポジウム。京都のホテルでこれを書いています。

忘れないうちに・・・

今日のアフタヌーンコンサート。
松下耕氏指揮のVOX GAUDIOSA。
自身の作品である日本の民謡5(一部世界初演)であった。
世界の合唱団と肩を並べる立派な演奏であったと思った。
先のLSOTと同じく、日本の文化と西洋の音楽の融合が見事に実現している。
よく響く声と美しいアンサンブルを聴かせてくれ、聴衆を楽しませてくれた。
松下氏の作品は日本民謡を素材としているが、ヨーロッパの合唱団でも演奏できる普遍性を持っているように感じた。是非海外の合唱団の演奏を聴いてみたいものだ。
アメリカ、サンフランシスコ・ガールズ・コーラス。
18歳までの女の子のコーラス。可愛い(中年おやじだ!)
声も良く訓練されていて、美しい。実は前半は、日本でも同じくらいトレーニングされたコーラスはあるぞなどと思っていたのだが、後半のスピリチュアルやガーシュインを聴いて、びっくり。さすがブロードウェイ・ミュージカルの国。彼女たちの踊りに大興奮!それはちいさな空間をとても有効に活用し、実に見事に素敵に踊って見せるのだ。完璧なエンターテイメントを彼女たちは見せてくれた。あれは日本では無理だと思ってしまった。このコーラスに限らずステージ上のパフォーマンスは日本は絶対後進国だと思わざるを得ない。
オーストリアのカンティクム室内合唱団。
もしかしたら練習不足かななどと思ってしまう作品もあったのだが、やはり実力のあるコーラスであった。オーストリアの響きなのだろうか、音色が大変明るい。また、弱声がとても美しく響くのだ。

クロージングガラコンサートを聴いた。なにわコラリアーズとクール・ジョワイエ、京都市交響楽団、指揮大友直人による、黛俊郎「涅槃交響曲」である。鐘(梵鐘)の音をオーケストラで再現し、読経や声明が男声によって歌われる作品である。1958年初演である。その時代、日本と西洋を融合させたこのような作品が生まれたことは驚きである。私はプロ合唱団連合のこの演奏をかつて聴いたことがあった。その時も衝撃だったが、今回の演奏は新鮮な印象を持った。
ただ、教会のような豊かな残響の空間のホールではあの音響はもしかしたら鳴り過ぎなのかもしれない。あれをお寺の本堂でやったらどんなひびきになるのだろう・・・
ブラームスとメンデルスゾーンの作品。BBCシンガーズと、今回のために特別編成で組織された日本人合唱団の演奏。指揮者はフリーダル・ベルニウス、オケは京響である。
コーラスはヨーロッパの響きがした。第九合唱のような日本の合唱とは違う、洗練されたコーラスが心地よかった。指揮者も素晴らしい音楽を作り出していたのだが、オケが今一に思えてしまったのは私だけだろうか。オーケストラがコーラスに寄り添って来ないように思えてしまった。

今回のシンポジウムで多くのものを得た。
あまりにも短期間で多くの出会いがあり、整理がつかないのだが、思いつくまでに・・・
i 声の美しさ
ヨーロッパの合唱歌手は見上げるほど背も高く、幅もあり、厚みもあり、それはよく響くだろう。しかし、アジアのコーラスも同じように美しく響いていた。日本のコーラスでも西洋の響きを獲得している団体も数多くある。合唱は声だ!
ii 北欧
Oslo、Norway、Sweden、Finland、Denmark・・・・
今回、北欧の優れた合唱団が多く素晴らしい演奏を聴かせてくれた。北欧の合唱作品を私たちも取り上げてみたいと思った。
2008年デンマーク・コペンハーゲンに行きたいと思った。
iii アジア(特に東南)
Philippines、Singapore、Malaysia、Thailand・・・素晴らしい合唱団、合唱曲がたくさんあることを知った。彼らは日本よりもはるかに西洋の音楽に近く、また、自国の文化と西洋の音楽を融合させている。
iv パフォーマンス
実に見事にステージ上でパフォーマンスをしている。それは時にさりげなく、時に演出を伴って・・・・自然に音楽に合わせた動きも素晴らしい。客席をもうまく活用する。何よりもエンターテイメントである。また、自然で自発的で美しい。そして、それらは彼らの持っている文化に因っているのだ。
v ジャズ・ヴォーカル
Duane Davis先生のJazzVocalの講座が勉強になった。Closedのharmonyの作り方、マイクの利点、リズムの乗り、参考になった。しかし、参加者たちの反応が凄い。即席合唱団もピアニストも偶然なんだよね?
vi 音楽展
今回、日本も含め多くの出版社や楽譜販売のショップが出店していた。同時代の作曲家の譜面やCDが販売されている。私も帰りの電車賃を残して資料を集めまくった。
かつて、ヨーロッパで人気の一部の作品しか日本で手に入らなかったが、今や、全く同時に情報を共有しあえる。また、海外の人気作曲家との委嘱活動も普通になってきている。
vii Communication
公式言語は英語だった。私は英語が解らない。(フランス語も解らないが・・・)
小沢征爾氏も若者に英語の必要性を説いていたが、今回、本当に外国語の必要性を痛感した。
私も8年間も英語の授業は受けているが、さっぱり解んない。
悔しい。
英会話を始めようかと、本気で思っている。
viii 百聞は一聴にしかず・・・・
出会わなければ解らない。体験しなければ解らない。
聴いてみなければ解らない。

このシンポジウムの良さは、本当は参加してみた人しか解らないのだ。

皆さん・・・とにかく、動きましょう。
という私も、動かなかった。でも、それを後悔しているのです。

そこで
ix Active動こう
皆さん(特に未来のあるあなた)動いて下さい。感じて下さい。自分の小ささを知って下さい。そして悔しいと思って下さい、そして、歩き出しましょう。未来に向かって・・・・

x
xi
xii
まだまだ続きはありますが・・・・・・・・・

京都にて 長文

修学旅行や家族旅行で二泊は何度もしたが、京都に五泊は初めてだ。しかし、もう二泊出来なかったことが悔やまれてならない。

世界合唱シンポジウムの後期日程に参加している。前期は学校の合唱コンクールのために断念。

世界合唱シンポジウムはIFCM(International Federation for Choral Music)が主催する合唱の世界大会であり、三年に一度開催され、今回が七回目、アジアでは初の開催である。(次回は2008年デンマークで開催される。)
かつて、アジアカンタートイン長野という大会が二十数年前開催され、大変な衝撃を受けたことが今でも鮮明に記憶に残っている。

この大会は各地の世界合唱祭やコンクールに比べても大変レベルの高いものはないだろうか。
毎日午後と夜にコンサートが開催される。そこに三団体ずつが出演するのだが、それはとにかく凄い。
世界各地の合唱団が得意のレパートリーを演奏するのだ。少人数のボーカルアンサンブルから大合唱団、女声、男声、混声、児童、様々な合唱団が登場する。

グアテマラのヴィクトリア合唱団、内戦を歌ったという作品は訴えの強いものだった。彼らの声はピアノが実に軽妙に響く。身体が自然にリズムに乗っている。ラテン系のリズム感が素晴らしい。
アフリカ、コンゴ共和国の合唱団ラ・グラース。太鼓など独特なアフリカの打楽器に乗せて歌う。リズム感が凄い。全身で音楽を表現している。彼らのリズムに客席も巻き込まれていく。指揮者が素晴らしいエンターティナーだ。とにかく全身が音楽なのだ。アフリカの独特なリズム感がオリジナルの合唱作品として合唱音楽として成立している。それは指揮者アンブロワーズ・クア・ンザビ・トコ氏の素晴らしい功績だ。コーラスの創り出すリズムとハーモニーは会場を熱狂させた。
アメリカのルイビル大学カーディナル・シンガーズの演奏を二回聴いた。一回目はスピリチュアル。アメリカの若者の歌うスピリチュアルはハーモニーといい乗りといい全く素晴らしい。しかし、この合唱団二回目の演奏は衝撃だった。世界各国の現代曲をそれは見事に歌った。これはもう学生の演奏というよりは世界一流の最高水準の合唱である。指揮者ケント・ハッテバーグ氏を初めて知ったが、忘れることは無いだろう。声も表現も、アンサンブルも最高であった。驚きと感動であった。
スウェーデンのスコラ・ゴディア。中世の音楽を大変美しい響きで聴かせてくれた。単旋律がこれほど美しく、繊細な表情を持っているとは・・・。
イギリス、BBCシンガーズ。数々の名盤で知られる歴史ある合唱団である。(Poulencの人間の顔の初演もこの合唱団であった。)世界初演の作品も含め、ここ数年で作曲された現代曲ばかりを演奏した。ハーモニーや様々な技法が斬新で興味深い。当然だが、難曲とは思わせない。作曲家の意図を完全に表現している。極めてクオリティの高い現代音楽の演奏である。見事なアンサンブルと声の表現力だ。豊かな響きと繊細な響き、リズム・・・、贅沢な思いに満たされた。
ドイツのカンタービレ・リンブルク。男声合唱団である。正統的なロマン派のドイツの合唱を聴かせてくれた。柔らかい響きが印象的であった。これほど、端正で知的な男声合唱の演奏は初めてである。
東京少年少女合唱隊・LSOTシニア&ユース・コアの演奏。松平頼暁氏の作品。日本の伝統音楽が合唱作品として、新たな生命を吹き込まれた曲であった。アイヌ・本州・奄美・沖縄・・・日本には一つにくくれない様々なスタイルの音楽があることを知らされた。日本古謡の「さくら」この編曲は凄かった。ヨーロッパの現代作品と全く匹敵する響きを作り出している。合唱団がヨーロッパの響きを持ちながら、日本の表現を共存させているのである。グレゴリオ聖歌を見事に歌う彼らだからできる合唱音楽の可能性なのである。
ロシアのヴォーカルアンサンブル・アニマ。6名のアンサンブル。カウンターテナーが実に美しい。小アンサンブルだが、その響きはロシアのものだ。バスの豊かな響き、ハーモニー、音色・・・ヨーロッパとは趣の異なる美しい世界だ。
フィリピンのサン・ミゲル・マスター・コラール。フィリピン唯一のプロ合唱団。彼らはヨーロッパの合唱団に引けを取らない、美しい響きを持っている。同時に、自国の独自な発声を生かしたオリジナル作品を生み出していた。アジアの旋律や発声が私たちのアイデンティティも刺激する。まだ若い才能豊かな指揮者であった。とにかく表現力が凄い。
フィリピンといえば、朝のオープンシンギングの指揮をしていたジョナサン・ヴェラスコ氏。私は見覚えがあった。アジアカンタートでフィリピンマドリガルシンガーズのバスを歌っていた人だ。穂高町でコンサートがあって、あの感動は強烈なものだった。
フィンランドのフィロメラ。女声合唱。指揮者マユルッカ・リーヒマキ女史のコンセプトなのだろう。歌い手の自発性、主体性がとても豊かなコーラスである。全然意味の判らないフィンランド語なのに表情が私たちに訴えかけてくる。美しいコーラスだった。

午前、午後は様々なセミナーやワークショップが同時進行している。発声、解釈、指揮法、各地域の合唱文化の紹介・・・どれも魅力があり、選択に迷う。
ところが・・・困ったことがある。それは言語である。今回はどのセミナーも全て英語で行われている。時々判るのだが、肝心なところがよく判らなかったりするのである。世界一流の講師による講座なのだが、悔しいことに理解が出来ない。
言葉は大事だと痛感した。

多くの素晴らしい演奏と出会った。あまりにも同時に出会って衝撃的で戸惑う。感動の余韻に浸ってる間がない。なんと幸せな時間だろう。
出会わなければ、体験しなければ判らないことがここにある。
だから、前期の素晴らしい出会いが出来なかったことを悔やむのである。

世界のそれぞれに文化が有り、彼らはそれを合唱という分野で新たな創造をしていることを知った。
単なる文化交流ではなく、合唱という共通の世界で共有しあっている。そして、コンサートホールでは座席の両隣には違う国の人が居て、ステージで歌っている合唱に立ち上がって拍手を送っている。
この一体感はオリンピックどころではない。
人類は合唱で救われるのだと思う。

私たちの合唱は本当にちっぽけだと痛感するけれど、ここでたくさんの憧れと希望と勇気をもらった。

明日が最終日。楽しみである。

京都のホテルにて・・・

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